AIに交渉事は無理? しかし…「弁護士の仕事もかなり減る」
悲観論ではない。最速で成長するしかない
弁護士、医師など高度な専門職と思われていた仕事も…
──高度な専門職と思われていた仕事もなくなる。
赤羽「たまたま、自動運転車の例を出しましたが、税理士、会計士だけではなく、従来は花形であった弁護士の仕事もかなり減ると理解しています。会計と同じく、多くのやりとりがスマートコントラクトベースで実施されるようになると、個別の契約がなくなっていきます。
一度しっかりしたスマートコントラクトを作っておけば、製品の代理店への納入手続き、部品のメーカーへの納入手続き、顧客への配達、返品処理などが自動で済んでしまうため、個別に契約を締結する機会自体が減るからです。
企業間の連携においては、秘密保持契約や各種の取引契約がありますが、それも一度締結が済めば後はスマートコントラクトで済みます。
M&Aなどの複雑で、非定型で高度な判断が継続して必要な場合には、弁護士の活躍の場が残ります。ただ、根本的には、大量の資料を読み込み、事例・法令研究を整理するのはAIが非常に得意とするので、かなり多くの仕事がなくなると思われます。
医師も同じです。例えば、ガンの最新の治療法など毎日読めないほど新しい論文が発表されます。この症状、症例に対してもっとも効果的な方法が何なのか、どういう治療法がどのくらい試されていてどういう結果を出しているのか、などはAIがもっとも得意とする分野です。
また、体調や気分に合わせた温度・湿度コントロールや、病気の未然防止、自動診断・自動問診システムの利用などにより、風邪、腹痛などの理由で病院に行く人が減っていきます。病気になりにくくなりますし、今よりもはるかに効率的な方法で診断できるようになるからです。どんなに注意したとしても、病院は患者が集まるところですので、行かずにすむのなら行かないほうがいいのです」
今回、赤羽氏に聞いた「すべての仕事がなくなる根拠」は、すべての仕事に関して、それぞれの理由が確かにあった。しかし、赤羽氏のそれは決して悲観論ではなかった。その先にあるのは、そこにチャンスを見出すことで日本のビジネスマン全体のレベルが上がり、世界に通用するビジネスを生み出すことであるのは、言葉の端々から感じることができた。
- 1
- 2